スザニ #001

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スザニ #002

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スザニ #003
16,500円(税別、送料込み)

スザニ #004
9,000円(税別、送料込み)

スザニ #005
14,500円(税別、送料込み)

スザニ #006

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スザニ #007
29,000円(税別、送料込み)

スザニ #008
18,500円(税別、送料込み)

スザニ #009
18,000円(税別、送料込み)

スザニ #010

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スザニ #011
7,000円(税別、送料込み)

スザニ #012
7,500円(税別、送料込み)

スザニ #013
7,500円(税別、送料込み)

スザニ #014

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ブロックプリント 布 #001
19,500円(税別、送料込み)

ブロックプリント 布 #002

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ブロックプリント 布 #003
19,500円(税別、送料込み)

ブロックプリント 布 #004

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ブロックプリント 布 #005

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ブロックプリント 布 #006
19,500円(税別、送料込み)

 


ウズベキスタン、花嫁の刺繍、スザニ



ウズベキスタンは、シルクロードの重要な都市であるサマルカンドのある国だ。シルクロードの終着点と呼ばれた日本にも、奈良時代にはペルシャの文物が伝わり、琵琶や白瑠璃碗、絵画などが正倉院に現存している。私の写真作品『Golden Sheep』の重要なモチーフの一つである『羊木臈纈屏風(ひつじきろうけつびょうぶ)』(正倉院所蔵)は、サマルカンドで発掘された羊の壁画をもとに描かれたと考えられている。


ウズベキスタンでは、女性が嫁入り道具として持参する布をスザニと呼んでいる。布に絹の刺繍で絵柄を縫い込んだもので、テーブルクロスやベッドシーツほどの大きさのものもある。彼女たちは幼い頃から作り方を学び始め、その伝統技術は現在も受け継がれている。現存する最古のスザニは18世紀後半から19世紀初頭のものだが、もっと以前から存在していたと考えられていて、デザインは国内の地域によって12の類型があるとされる。私は、その絵柄を見て、日本の奈良時代とペルシャが直線的につながった感覚を得た。

ウズベキスタンは元ロシア領であるためか、英語を話せる人が多くはない。私はサマルカンドで英語を話せるガイドを雇い、車で一時間ほど離れたウルグットという市場へ向かった。土曜日の市場は多くの人でごった返していた。日用品や食料、衣類といった、ありとあらゆるものが売っている。日本でいうところのショッピングモールのようなものだった。しかし、私の目的とするスザニ売り場にはほとんど客がいなかった。「伝統が廃れていく状況はどこも同じなのか」という疑問を持ちながら、軒を連ねる店を見て回った。


ガイドから前もって注意されていたのだが、この国では値段の交渉が当たり前である。こうした商品は定価というものがない。価格は売り手と買い手による話し合いによって決まるのだ。とはいえ、これは慣れの問題なので、特に難しいことではなかった。相手もディスカウントをする前提で金額を提示してくるので、こちらの希望価格を素直に言えばいい。あとはどこまでお互いに譲れるかというだけだ。
スザニは地域によって12の絵柄に類型されると述べたが、地域によってデザインがかなり違う。私が気に入るのはブハラという地域のものばかりだった。私にとっては正倉院、ひいては日本文化との接点を見出せるような絵柄が、ブハラのスザニであった。



サマルカンドを離れると、そのブハラという街へと向かった。ホテルの外にはスザニや陶芸、刃物といった伝統工芸の店が、土壁で覆われた古代都市に馴染むように並んでいるが、これも観光客向けの地区内だけの話で、一歩外に出ると石畳がアスファルトに変わり、土壁がコンクリートに変わっていた。
1月は観光のオフシーズンでもあり、おそらく店の半分以上が閉まっていた。人の言うには、この国の冬は寒いので家から出ることが少ない。特に子供の姿を見ることが旅を通して少なかった。敬虔なイスラム教徒の女性も家を守るのが仕事なので、あまり家から出ないという。確かにブハラの街は人通りが少なかった。
私は「古いスザニを探しているんだ」と声を掛け、店を巡った。それは奈良時代の日本人が抱いたはずの、ペルシャへの憧憬をなぞる行為のように感じられた。そして私が手に取る商品を見て、「日本人は変わったデザインばかり選ぶよね」と店員が答えるのだった。